シーリングについて

雨漏りの修繕にはさまざまな理由があります。その中でも、シーリング処理の仕方が原因で雨漏りを起こしている可能性もあります。水戸部塗装では、シーリングの専門資格を習得した職人がいますので、ご安心ください。その技術について、ここでご説明いたします。

1.既存のシーリング材の劣化状況を調査・診断し、張り直し箇所の有無などを見極め、施工計画を行います。

界面剥離

新築時のプライマー塗布不足等が原因で中まで剥離しているとサイディングが吸水し、そこから入った水分が凍結・融解を繰り返し、基材を破壊します(凍害)。切り取って打ち直す必要があります。

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    屋根際からの吸水による凍害例
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    伝い水による凍害例(1)
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    伝い水による凍害例(2)
※プライマー
被着体とシーリング材の接着性を向上させる為に予め接着面に塗布する液状の下地処理材料で、シーリング材の施工には原則的に用いなければならないもの。修行時代には先輩から口酸っぱく「これ塗らないと全くくっつかないと思って塗れ!」と言われてました
※凍害
定義は様々ありますが、サイディングにおいては、切断小口から侵入した雨水が内部で凍結する際、体積が9%程膨張する為、サイディングを破壊する事とします。その為、メンテナンス行為が必要となるのです。

表面劣化(白くなっている部分)

紫外線によりシーリング材に含まれる可塑剤が抜け弾力を失う、若しくは色が抜ける。 放っておくとシーリング材が無くなっていきます。

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※可塑剤
ゴム・プラスチック製品に柔軟性を与える為添加する液状の物で身の回りにあるものですと、輪ゴムや物干しのプラスチック部分を想像して下さい。輪ゴムはだんだん固くなり何れボロボロ・若しくはドロドロ。物干し等は表面が劣化して粉っぽくなり割れてしまいます。何れも可塑剤が抜ける事により起こります。シーリングも同様、紫外線により可塑剤や樹脂分が抜けていき、劣化していきます。

凝集破断

木造住宅は、自然の力によって絶えず動いています。また、サイディング自体も主成分はセメントで出来ているものがほとんどですが、伸縮・吸水の仕方は木材に近い物です。構造物のジョイントにはワーキングジョイントとノンワーキングジョイントがありサイディングのジョイントはワーキングジョイントに分類されます。その動きのほとんどを受け止めるのがシーリング材の役割で、施工完了直後から絶えず負荷のかかった状態になります。近年のシーリング材は応力緩和タイプがほとんどですが、それでも疲れ果てると写真のような状態へと劣化します。他の原因としては3面接着となっている事が考えられます。

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※ワーキングジョイント
目地にムーブメント(温度・湿度変化・風・地震・振動等により建築部材に伸縮・ずれなど生ずる時の動きまたは、その程度を言う。温度・湿度によるムーブメントを長期的ムーブメント。地震によって生ずる動きを短期ムーブメントという)が生ずるものを言い、高層ビルのカーテンウォール等の目地・住宅のサイディングの目地もこれに当てはまります。
※ノンワーキングジョイント
ムーブメントを生じないか、あるいは極めて小さいムーブメントが発生する目地を言う。鉄筋コンクリート造の打ち継ぎ目地(階高部分にある横目地)や亀裂誘発目地(縦に入ってる目地)や窓廻り、PC版のサッシ廻り等がこれに当てはまります。これ以外、ほとんどの物が絶えず動いていると考えても良いくらいです。木造モルタルの場合はどちらかといえばワーキングジョイントに入ると思っています。構造物の動く部分にきちんと目地が入っていれば、そこにシーリング材を充填する事でクッション材・軟骨的な要素を果たし、ひび割れを極力抑える事が出来ます。木造モルタルの戸建てをお持ちのお客さまで、目地部分にひび割れが入っているような場合は、きちんと役目をはたしていると考えて下さい。弊社ではモルタル壁の場合にも、建具廻り、目地部分にシーリング施工を致しておりますので、ご安心ください。
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※応力緩和
材料を一定の変形状態(破壊するような力ではなく)に保つと、元の形に戻ろうとする力=応力 が働くのですが、その力が時間と共に低下する現象の事を言います。言いかえれば、サイディングが収縮した時に柔軟に追従していくものと考えて下さい。
戻ろうとする力=応力が弱い為=低モジュラス
※3面接着
目地にシーリング材を充填する際、相対する被着面(サイディングの場合には目地の両側)と目地底の3面に接着させる事を言います。
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シーリング材の機能維持の為には目地の伸縮に自由に追従出来る事が必要です。ワーキングジョイントでは2面接着が絶対不可欠な条件となります。その為、バックアップ材やボンドブレーカー・ハットジョイナー等により目地底からの絶縁が必要になるのです。一方で、ノンワーキングジョイントや上にあげたモルタル外壁などは、バックアップ材等を装填してしまうと、そこが雨水の侵入経路となってしまう為、3面接着が望ましいとされています。

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    バックアップ材
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    ボンドブレーカー
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    ハットジョイナー

被着体破壊

被着体自体の保持力を接着力が上回った時に起こります。新築時に目に見えない微細なクラックが起こっていた場合がほとんどです。

2.サイディングの特定

当時のカタログや施工経験をもとに、お客様のお宅に張られているサイディングを可能な限り特定します。張替工事が必要な場合には、メーカーに問い合わせ同じサイディングを取り寄せる事もございます。また、同じものが探せない場合、メーカーの推奨品にて代用させて頂きます。

2000年前後より、各社のコーティング技術が進み、様々な多機能商品が出回るようになりました。中には塗装不可な商品や、塗装する事で逆に性能が落ちてしまう商品等もある為見極めが重要です。弊社では、新築のシーリング工事も行っている為、常に新商品に明るく、また、建材店やメーカーへのパイプもありますので、塗装後剥れ落ちた…。等という事はございません。安心してお任せ下さい。

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3.既存シーリング材の撤去

工具・カッター・人力で既存のシーリング材を撤去していきます。

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切断小口は上記のようにきれいに取り除きます。

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そして、新築時と同じ状態に近付けます。既存のシーリング材が残存していると、新しく施工するシーリング材との間に1層入り込む事になり、打ち替えを行う意義が無くなってしまう為、この作業できれいにする必要があります。

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上記のような3面接着の場合も同様に可能な限り撤去しますが、取り除くのが難しい場合にはMカットで対応する事もございます。

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サッシ廻り・入れ隅部分・軒天材の取り合い部分等は基本的にVカットで新しい接着面を出してあげた後に増し打ち施工となります。但し明らかに接着しておらず、引っ張って取り除けるような場合には完全な打ち替えとなります。

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切取材は多い場合で土嚢袋6つになる事もございます。何れの場合も、接着している箇所していない箇所、切取可能な箇所不可能な箇所を経験に基づいて判断し、1軒1軒お客様のお宅に最適な施工をさせて頂きます。

4.張り替え・増し締め

切取が完了したら、張り替え工事と増し締め作業に入ります。ちょっとした事なら自分たちで行ってしまう業者さんもいらっしゃるようですが、餅屋は餅屋。弊社では日本窯業系外装材協会通称NYGの試験に合格している外装材施工のプロにお願いしています。

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施工後、10年も経過すると新築時に打ちこんだ釘も、どんどんゆるくなってきます。そこで弊社では、再シーリングを行う前に必ず増し締めを行います。さらに当時の施工で規定量を満たしていない部分の釘を新たに打ち込んだり、下地のやせ具合により直接長いビスで躯体に固定します。金具止めによる施工の場合には、わざとルーズに作ってある為、点検程度にしておきます。多い時には45坪ほどのお宅で釘7kgも使う事もある程です。

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続いて張り替え工事です。凍害等によりサイディングの損傷が激しい場合には張り替え工事を行います。新品が手に入る場合には新品で。不可能な場合には代用品や、ベランダ内部等から剥がし、見える部分に使い見えないベランダ部分に違う柄を張りつける等、ご相談しながら施工を進めて参ります。その際には普段は見る事の出来ない土台や柱等もご覧いただけます。柱や土台の腐食・白アリによる食害等見つかる事もあり、建物の長寿命化につながります。張り替える外装材には、吸水止めを必ず施工します。こうする事で水を吸う事も無くなり凍害が起きません。張り替えを行わない部分も上塗り材を丹念に塗り込む為、凍害が起きる事はありません。

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この施工フローに基づくと、切り取りから再シールまで時間がかかり、目地が開放されたままという事になりますが足場が架かり、シートが張られますし壁内にはアスファルトフェルトや透湿シートが張ってあり、さらにきちんと施工なさっているところではサッシ廻りに防水テープが貼られている為、室内への漏水の心配は、まずありません。現在の施工ではサイディングはあくまで2次防水と考えられ、元請けによっては透湿シートと防水テープを貼った段階で、放水試験を行う会社もあるようです。

5.改善工事

起こっている事象には、必ず原因があるものです。弊社ではただ塗装を行うのではなく、原因を突き止め解消する事を徹底して行います。サイディング施工士をはじめ、大工・板金工・左官工・サッシ工・設備工・電気工・防水工・内装工等ネットワークを構築し、お客様の要望にお応えできる体制を整えています。

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    フード交換・樋交換例
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    雨仕舞い改善例

6.再シーリング工事

再シーリング工事の開始です。

まず、材料の選定を行います。再塗装を施す場合には、可塑剤が入っているジーリング材を使うと塗装表面へ滲み出てしまう(ブリード現象といいます)為、可塑剤を含まないノンブリードタイプの応力緩和・低モジュラス品にて施工します。誤解の無いように申しますと、低モジュラス品が良い。という訳ではありません。中モジュラスでないと駄目な部位、高モジュラスでないと駄目な部位と、様々あります。

ここで、シーリング工事の背景をちょっとだけ。もともとシーリング工事はビル工事がメインの仕事です。私もビル工事で育てて頂きました。ビル工事では1950年代には既にシーリング材が使用されていたようで、その後、1963年には国内生産が開始されました。

シーリング材の分類として1成分型(ホームセンター等に置いてある筒状のもの等があるので皆さんもご存知ではないでしょうか。)と主剤・硬化剤を混練して使用する2成分型があります。1成分型は硬化方法により4つに分類されます。

1)湿気硬化型
文字通り空気中の水分と反応して硬化します。冬季間や気温が低い時等、硬化が遅いのはこの為です。逆に梅雨時や、真夏などはたちまち硬化します。
シリコーン系・変成シリコーン系・ポリサルファイド系・ポリウレタン系等がこれに属します。
2)酸素硬化型
空気中の酸素と反応して硬化します。
変成ポリサルファイド系が属します。
3)乾燥硬化型
含有水分の蒸発により硬化します。
アクリル系が属します。従来ALCの板間に使用されました。今はあまり使用されません。
4)非硬化型
鏡面は空気中の酸素と反応して皮膜を形成しますが内部は硬化しません。
油性コーキング材がこれに当てはまり、コーキング屋さんと通例的に呼ばれるのはこの為です。厳密には今現在、コーキング屋さんは居ません。シーリング屋さんのみです。

2成分型は基材と硬化剤が反応する事で硬化する混合反応硬化型です。缶やパウチに入っている基材と硬化剤を専用の混練器で混練し、バキュームガンで吸い込み施工します。弊社が新築時や、リフォームでも後塗装なしの場合に使用するのがこのタイプ。1成分型も缶入りのものを使用します。1成分型(筒状)がどなたでも手に入るのに対し、業務用・プロユースの商品といえます。また、缶入りの為ロスが少なく、ボリュームを持たせたシーリングが出来るため、仕上げ材への空気の混入が少なくきちんとした仕上げが可能です。

シーリング材の種類

上でも述べましたように、シーリング材には様々な種類がございます。ひも解いて行くと色々と化学式が出てくるため、もう1度高校の化学の教科書を引っ張り出して来て勉強したくなるくらいです。

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1)シリコーン系
シリコーン(オルガノポリシロキサンの事であり、シリコンではありません)を主成分としたシーリング材。耐候性・耐久性等申し分なく最高のシーリング材なのですが、目地周辺に撥水汚染が起こります。ガラス廻り・クリーンルーム・水槽・浴室等に使われます。外装金属パネルや笠木等に使えばその性能を存分に発揮するのですが、上にあげたように汚れがひどい為、あまり使われなくなりました。1成分型はホームセンターで手に入る為、電気・設備屋さんが戸建て住宅でよくお使いになります。お施主様などもご自分で施工するのに使ったりするようですが、落とし穴がありシリコーンを1度施工してしまうとシリコーンでしか施工できなくなりますので、シリコーンでないと接着しない(厳密にはポリサルファイドやイソブチレン等も可)ガラスや、シリコーンの使用が好ましい水廻りを除いては、変成シリコーンをお使い頂けると有り難い限りです。シリコーンは塗料ものりません。厳密には後塗装用のプライマーが出てますので可能なんですが、あまりお勧めできません。
2)変成シリコーン系
現在の日本で出荷量・施工実績共にナンバー1なのがこの変成シリコーン系シーリング材です。変成シリコーン(シリル基を末端に持つポリエーテル)を主成分としたシーリング材。某化学メーカーが開発した変成シリコーンポリマーを使用しているので変成シリコーンという名称が使用されています。上記のシリコーン系と名前が似つかわしく、ホームセンターなどで汎用品のカートリッジなども販売しているため間違える方もいるようですが、シリコーンとは全く関係ありません。ご自分で施工される際にもこのタイプにされておけば、私どもが打ち継ぐ場合にも何とかなります。耐候性はシリコーンに次いで優れ、ムーブメントに対する追従性も良い為、住宅のサイディングのシールはもちろんビル工事においても外装パネルやタイル目地、サッシ目地等随所で使用されております。普段皆さんが街を歩いていて目にされるシール材は、おおよそ変成シリコーン系の2成分系だと思います。また、現在は接着剤としても使用されることが多く、床材やキッチンパネル等の接着剤等も変成シリコーンとなっているようです。
3)ポリサルファイド系
昭和38年に製造された国産材第1号であり、現在も使用され続けている超ロングセラー商品です。ポリサルファイド(主鎖にSS結合をもち、末端に-SH結合をもつポリマー)を主成分としたシーリング材で硫黄化合物特有のにおいがします。昔会社員だった時代には、仮設のエレベーターなんかで他職の職人さんと一緒になると「うっ、臭い」などと言われたものです。言うほど臭くはないんですけど。90年代前半まで、酸化鉛が硬化剤として用いられていましたが、現在はイソシアネートとの反応によって硬化しています。(2成分系)。昔は発色させるのが困難だったようで、屋内では淡色が使えず、屋外でも基準色程度しかありませんでした。イソシアネートに変更されてから変成シリコーン用のトナーが使用できるようになり、色数がグンと増えました。また、ポリサルファイドに対してはほとんどのシール材が接着可能なため、サッシ部材や金属曲げ物の小口部分の工場での先打ち材として使用されています。硬化とともに表面がさらさらになるため、埃がつくことがほとんどなく油分の流出等もない為、石材やタイルの仕上げ、淡色のサイディング材等、美観を大事にする仕上にはもってこい!の材料です。
4)ポリウレタン系
ポリウレタン(ウレタン結合等をもつポリマー)を主成分としたシーリング材。表面に紫外線が当たると劣化が進む為、主に後から塗装する場合にのみ使用されます。塗装専用品とされていた為、無塗装のサイディングにもその昔は使用されており、また、コストパフォーマンスに優れるため悪質な業者だと塗装品にも使用したようです。シール材が粉をふき、表面がバリバリに割れていたらウレタンの可能性もあります。このように書くと、粗悪な材料だと勘違いされてしまいそうですが、ゴム質は非常に良質で使用箇所を間違えなければ良いシール材です。以前はブリードして当たり前だったのですが、最近は各社ノンブリード化が進み、改修工事に使用されることが多いようです。(ノンブリードじゃないと、外壁にいたずら書きをしたように黒くにじんできます)ですが上記のように紫外線により劣化をするため、割れてしまうような塗料や、薄膜の塗料には使えません。(お勧めしません。私の主観です)塗膜の割れたところから劣化が進んでいくためです。吹付の下地補修や、ローラーによる厚膜塗装の場合のみに止めたほうが良いようです。(主にモルタル壁)サイディング板の打ち直しの場合には、変成シリコーン系のノンブリード品、もしくはネオウレタンで施工するのが好ましいと感じます。

以上4種類が、戸建て住宅でも使用される主要なシーリング材となります。

他には

5)アクリル系
アクリル樹脂を主成分としており、乾燥硬化型で以前ALCの板間の使用されていました。これも現在はノンブリード化が進んでおり、塗装屋さんが使うコークボンドや内装屋さんが使うジョイントコークなどがこれに当たります。
6)ブチルゴム系
ブチルゴムを主成分としたシーリング材で1成分系の溶剤タイプです。乾燥硬化型で、粘着がしっかりしているため雨仕舞の要所要所で使用されています。弊社でも改修工事の際には使用しています。
7)油性コーキング
天然、または合成の乾性油、あるいは樹脂を主成分としたシール材で表面は酸素と反応して被膜を形成するのですが、内部は硬化しない非硬化型
8)変成ポリサルファイド系
変成ポリサルファイド(主鎖にウレタン結合をもち、末端に―SH基をもつポリマー)を主成分としたシーリング材で酸素と反応する酸素硬化型で1成分系のみとなっています。耐油性に優れるためダクト周りや配管廻りで使用されることが多いようです。
9)ポリイソブチレン系
シリル基を末端にもつポリイソブチレンを主成分としたシーリング材で反応硬化の2成分系のみとなっています。今までシリコーン系の改修はシリコーン系でのみしか行えなく、シリコーンの撥水汚染は解消されなかったのですがこの材料の登場により、シリコーンの用途に替えることが可能となり、撥水汚染が減る事となりましたがあまり使用されることはないようです。
10)アクリルウレタン系
アクリルウレタン(ポリウレタンの1部をアクリルで置き換えたポリマー)を主成分としたシーリング材そのまま暴露しても耐候性は非常によく、塗装を施してもブリードしないシーリング材です。各社のノンブリードが出揃う前にはノンブリードと明記してあったのはこの材料のみだったように記憶しています。暴露されるか塗装を行うか不明な場合にウレタンではなく変成シリコーンにて施工していたのですが仕上げ塗材に拘る業者さんは使っていたのではないでしょうか。弊社でも、ノンブリードの変成シリコーンが登場する前は使用したこともありました。
11)テレケリックアクリレート系(シリル化アクリレート系)
シリル基を末端にもつポリアクリレート系ポリマーを主成分としたシーリング材で9番目のポリイソブチレン系以来の全く新しいタイプのシーリング材です。耐熱性・耐候性に優れ撥水汚染がない為、様々な仕上用途に用いられると思われます。超耐候性のシール材や耐火シール、また光触媒をコーティングしてあるガラスへのシールなどに向いています。

と、ここまでシーリング材についてお話ししたわけではありますが、このホームページをご覧になって下さっている方々のように私どもの仕事に興味を持って下さる皆様だとお分かりになると思うのですが、一般的に認知度がまだまだ低く実際問題、施主様へのご挨拶で、「シール屋でした~!」と言ってもなかなかご理解いただけません。もっと頑張らなくてはいけない!というのが正直なところです。

そもそもビル工事で使われていたシーリング材が住宅に使われるようになったのは、1970年代も後半の事。1976年の酒田大火がきっかけになり、窯業系の防火サイディングが張られるようになってからです。ビル工事で使っていた中モジュラス品の変成シリコーンを使い施工したわけですが、当時のサイディングの収縮率があまりに高く、(10mmの目地が20mmになんて事も)追従出来ずに界面剥離、また接着が良好だったものは被着体破壊・凝集破壊が起こりました。その頃はハットジョイナー等も入っていなかったでしょうから,3面接着のせいでもあった事でしょう。しかも、切れるのが当たり前と思われ広い面積に対して10mmぐらいの線状のものですから気にされる方も少なく、クレームに発展する事もあまりなかったのではないでしょうか。

1990年代に入り、それではいけない。という事でもないでしょうが、メーカー各社 窯業系サイディング専用材なるものを登場させました。これが応力緩和タイプの低モジュラス品です。その後、改良を重ねて次々と新製品が出ております。

サイディングメーカー各社も20年も前にはメンテナンスに関しては大きく取り上げては来ませんでした。実際にお施主様に話をさせて頂くと、再シールや再塗装の必要性をご存じない方も沢山いらっしゃいます。現在ではサイディングメーカー各社、数ページにわたってメンテナンスに関して触れて下さっています。

ネットで何でも情報が手に入る時代。我々職人も情報に惑わされず、自分の手で、眼で確かな物を選択しお勧めしていかなければなりません。

上から塗装をする場合には2成分系のサイディング専用品にはノンブリードタイプの変成シリコーンがない為、1成分系を使用します。前述の通り、ポリウレタンですとノンブリード系の2成分系が多々ありますが万が一の塗膜の割れを考えますと紫外線による劣化が否めませんので、やはり変成シリコーン系での打ち替えが間違いありません。

塗膜の割れに関してですが、それならば塗装を完了させた後、再シーリングすればいいのいでは?という疑問も生じるかもしれませんが、そうしますと

  • ※シールと塗装の艶があわない。
  • ※塗膜とシールの耐候性に差が生じる。

等の問題があります。

超耐候性のシール材もございますが、今のところ明確な基準がなく(ご希望であれば使用いたしますが)登場後10年も経っていないため、本当の実績が不明です。

そこで弊社では可能な限り弾性の塗膜(ある程度追従します)をお勧めしたり万が一割れてしまっても目立たない様に塗色に合わせたシーリング材を使用しております。

また、弾性の設定が無い塗料に関しましては、故意にノンブリードの材料を使用せず微弱にブリードを起こさせる事もあります。微弱なブリードは若干のべたつき等もありますが塗料が軟化するため割れが生じる事も無く埃の付着もほぼありません。シーリングと塗装工事を1社で完結できる弊社ならではの考え方です。

塗装完了後にシーリングを施工する場合にもノンブリードの変成シリコーン系が好ましい事が最近になって分かってきました。サイディングの小口部分に塗料が廻り込んでいると、その塗料に対してブリージングし界面剥離が起こる為です。ノンブリードのシールには曝露耐候性に劣るもの、通常品と遜色のない物等ありますので、見極めが必要となります。弊社で使用しているシャープ化学さんの材料は後者の方ですのでご安心ください。

また、ノンブリードタイプでなくても、プライマーとの相性(可塑剤が移行しない程度の厚膜)で解決する事が出来るようです。何れにしろ、メーカーさんとの太いパイプを保持しておくことが肝要と考えております。

7.バックアップ材の装填・ボンドブレーカーの貼り付け

切取を行うと、既存のハットジョイナーに貼り付けられているボンドブレーカーが剥離してしまいます。

そのまま充填すると、3面接着になってしまう為、新しくボンドブレーカーを張りつける必要があります。

また、バックアップ材も切取により傷ついてしまい、シール材が発泡する恐れがあるため同じように交換が必要です。ボンドブレーカーにもさまざまな種類があり、充填する材種により変える必要があります。バックアップ材は3面接着の防止はもちろん、シールの厚みの調整に役割も果たします。シーリングは厚ければ厚い方が決して良い訳ではなく、適正量が定められております。一般的には目地幅の半分、幅が20ミリであれば厚みは10ミリ程度となっています。充填が厚くなると、横方向の引っ張りに弱くなってしまう為、厚すぎず薄すぎず、適正なサイズでの施工が重要です。

8.マスキング・プライマーの塗布

img_sealing01.jpg 続いて、マスキングです。仕上がりの良否を左右する大事な工程です。仕上がりを想像しつつ、緻密かつ直線が出るように貼り上げなくてはいけません。糊の強い物から弱い物、最近ではセルフクリーニング専用テープ等という物まであります。改修工事の場合には糊が残ったり、また思いのほか接着が強かったりと様々なシチュエーションに対応する為何種類か準備しておく必要があります。

シーリング材が本来の防水性能を発揮するにはシーリング材のそのもの以外に、被着体に十分に接着する事が基本です。被着体は星の数ほどある訳ですから、これらに接着させるにはプライマーが非常に重要な役割を担っています。

主な役割として

  • ※シーリング材と被着体間の接着性の付与向上
  • ※表面強度の脆弱な被着体表面の強化
  • ※多孔質物質の内部からシーリング材接着面への水、アルカリなどの流出防止
  • ※被着体またはシーリング材からの可塑剤の移行防止

接着が良好な状態の目安として、被着体破壊とシーリング材の凝集破壊が良いとされています。(被着体を破壊するほど接着している、若しくはシーリング材が切れてしまうほど被着体に接着しているという事)皆さんのお宅のシーリングがメジの真ん中から材破していたら、きちんと施工されている目安と言えます。

主な種類として、合成ゴム系・アクリル系・ウレタン系・エポキシ系・シリコーンレジン系・シラン系等に分類されます。主成分の配合が各社異なる為メーカーが準備しているプライマーの使用が大前提となります。

9.混練

img_sealing02.jpg1成分型でも基準色(白・グレー・ベージュ・茶・黒等)以外は、トナーを入れて混練し塗色に近付けた上で施工します。空気を巻き込まない様に、専用工具にて行います。材料によりますが12分から15分、斑がなくなるまで十分に混練します。

10.充填

img_sealing03.jpg 材料が出来上がれば充填に入ります。空気が入らない様に材料をバキュームガンで吸い込み、目地底より充填していきます。簡単に見えるこの工程。空気の入らない様に充填するには順序良く行う事が重要です。必ず角部分から打ち始め交差部などで打ち継ぎしてはいけません。隅々まで材料を行き渡らせるために重要な仕事です。カートリッジタイプですと、材料がもったいないという意識が働き、奥まで充填するのがどうしても難しいようです。私どもが缶入りの1成分系、及び2成分系の材料にこだわるのはこのためです。

11.仕上げ

img_sealing04.jpg 充填の次はヘラ押さえです。充填のみでは不十分な個所を転圧しながら撫で返ししていきます。同一方向から2回、反対方向から1回仕上げます。こうすることで、内部に混入している恐れのある空気分を追い出すことが出来ます。ちょっとでもおやりになった事がある方ならわかると思いますが、非常に繊細で難しい仕事です。見ている分にはかなり簡単に思えるらしいのですが、これがなかなか。上から下まで一気に仕上げることは不可能ですので、途中でジョイントがつくことになります。このジョイントを消すことが出来ないと、現場に出向き仕上げることは不可能です。専門業者である私どもがプロと言われる所以です。

12.テープ剥がし・片づけ・清掃

仕上げが終わった個所から、マスキングテープを剥がしていきます。ただ剥がすのではなく、「最後の仕上げ」と言っても良い位、重要な工程となります。テープがぶつからないように、角度、方向に注意を払い剥がしていきます。また、汚してしまったところなどを清掃溶剤で清掃していきます。サッシなどはシンナーなどの強溶剤で、サイディング板面などはノルマルヘキサンなどの弱溶剤で、というように被着体に合わせた溶剤で行いますので、万が一にも剥げてしまった!などということはございませんのでご安心ください。

13.こだわりポイント

コンセント廻り

img_sealing05.jpg 躯体まで貫通している部位ですので、廻りをシールします。

屋根際

img_sealing08.jpg 外壁に雨水が伝うと凍害を起こすため、雪割り加工をします。

伝い水防止水切り

img_sealing07.jpg サッシからの伝い水により、凍害が起きないように水切りを取り付けます。短いものと長いものがございます。

テーパー仕上

img_sealing06.jpg 被着体・施工場所にもよりますが、折角の改修工事ですのでご相談の上、極力有効な施工を心がけております。